こんにちは^_^
仙台のメンタルトレーナー吉田です。
「そういう指示は聞いてません」
「そういうやり方だとは教わっていません」
「先にこっちの仕事をしていたものですから…」
「それは◯◯さんが最終チェックをしたんです」
「それって、私の責任なんですか?」
原因はどうあれ、周りに何かの迷惑をかけたにも関わらず、
こんなふうに「素直に謝らない迷惑な人」をマネジメントするのって
なかなか骨が折れます。
組織は「ミスや失敗は起きるもの」という前提に立っているからこそ、
不用意にミスやトラブルを起こさないように、詳細なルールや手順を
取り決めしたり、万が一ミスやトラブルが起きたとしても、それをチーム
全体でカバーすることで、仕事を円滑に回すような仕組みづくりに
資源をさいているのです。
だからこそ、発生したミスやトラブルに対しては
きちんと素直に謝罪することは仕事を円滑に回す上で
とても大切なことです。
にも関わらず、謝罪しないばかりか、他人や環境、タイミングのせいにする…。
言い訳ばかりで素直に謝らない職場の迷惑な人は、
たとえ自分に明確な原因があるミスや失敗だったとしても、
真っ先になんらかの言い訳をして、素直に謝ろうとしません。
たとえば、本来の手順を守らなかったせいでミスをした場合には、
「やり方を守らなかった自分が悪い」ではなく、
・難解な手順になっているのが悪い
・理解できるまで教えてくれなかった先輩が悪い
「だから私は悪くない」こんな具合です。
あるいは、期限内に仕事を終えれなかった場合には、
「優先順位をつけて段取りよく仕事をしなかった私が悪い」ではなく、
・誰も電話に出てくれないせいで自分が電話の取次をしていたから
・他の業務を頼まれたから
「だから私は悪くない」終始こんな感じなんです。
さらには、「私はもともと理系(文系)ですから」とか、
「以前の部署ではこういうことは教わってませんから」とか…。
他にも、
「チェック担当者が悪いから」
「シフトの組み方のせいで人員が少なかったから」
「たまたまタイミングが悪かったから」などと、
自分ではなく『自分以外の何かが悪い』という頑ななスタンスを貫くのです。
でもなぜ、言い訳ばかりで謝ることを拒むのでしょうか?
言い訳ばかりで素直に謝らない職場の迷惑な人は、
2つのタイプに分類できます。
それは「被害者タイプ」と「葛藤タイプ」です。
素直に謝罪しない人:被害者タイプ
「被害者タイプ」は、自分がミスをしたのではなく、サポートしなかった
周りや、ミスを発生させるよな環境が悪いと本気で思っているので
素直に謝らないというタイプです。
このタイプは、体験する出来事について、いつも「自分=被害者」
「自分以外=加害者」という偏った世界観で生きているので、
ともすると「誰かが私に恥をかかせるためにミスするように画策した」
というような突飛な陰謀論を本気で考えていたりします。
また、何かと根に持ちやすく、自分は悪くないと本気で思っているので、
自らの行動を改善しようとする意欲もありません。
認知の歪みによって、そもそも「体験している世界」が全く違いますから、
このタイプのマネジメントは一筋縄ではいきません。
認知の歪みを指摘した日には、「人格否定された!」と
うっかりするとハラスメント行為として受け取られてしまいかねないのです。
そこで、当面の対策としては、発生リスクを最小限にとどめるために、
・報連相の頻度を高める
・報連相の記録を残す
・業務手順の勉強会を開く
・担当業務を見直す
・後輩指導の役割を担わせない、
こうした対応を検討する必要があります。
ただし、これらはあくまでも当面の対策です。
こうした状態が長期化してしまうと、
他のメンバーとの業務バランスが崩れてしまい職場環境を悪化させます。
ですから、当面の対策と同時進行で、改善指導を粘りつよく続けていく
必要があります。
指導の注意点としては、被害者意識に巻き込まれないことと、
相手の思考の幅を広げるアプローチをすることです。
たとえば、もっともらしい他責の言い訳を言ってきたとしても、
「◯◯さんは、そんなふうに考えているんですね」と、相手の話を
受け止めつつも共感することのないように話を聞いていくのです。
その上で「たとえば、これこれこういうふうに考えることも
できると思うんだけど、それについてはどう思う?」など、
偏った思考の枠組みを外すような問いかけの場面を意識的に
増やしていくようなマネジメントの工夫が必要です。
素直に謝罪しない人:葛藤タイプ
もう一つのタイプは「葛藤タイプ」です。
このタイプは、ミスやトラブルの原因は自分にあるとはわかっている
のですが、「謝ること」に心理的な抵抗を感じているため、
素直に謝ることができないのです。
ではどんな心理的な抵抗を持っているのでしょうか?
それは、
・謝ることは自分の存在価値を下げること
・謝ることは自分の人格的な負けを認めること
・謝ることは人生の敗北を全面的に認めること
・謝るということは全責任を被るということ
・謝ると笑われる、恥をかく
など、「謝る」ことに対して「一方的に自分が損害を被る」
というかなりネガティブな価値観を持っているのです。
そもそも、ミスしたことと、
「その人の人格」「その人の存在価値」「その人の人生の勝ち負け」
などは全く関係がありません。
ですが、葛藤タイプの人は、過剰なまでに完璧な自己像を持っていて、
ちょっとでも自己像にキズがつくような事を体験したときに、
完璧な自己像と現実の自分とのギャップを正面から受け止める
心の余裕がないのです。
こうした心理的な抵抗が生じる背景には、自己肯定感の低さがあると
言えるでしょう。自己肯定感が低いと、ちょっとした事でもすぐに
「防衛本能」が発動してしまいます。
なので、「怒られる(攻撃)前に、とにかく逃げろ(言い訳)!」と
本能的に言い訳してしまうのです。
ミスを謝るということは、自分が特別な存在ではないと認めることであり、
自分の存在価値を失ってしまうことにつながってしまうので
「謝るなんて怖いことはできっこない!」という考えのが
ベースにある考え方です。
ですからマネジメントする上では「素直に謝罪することのメリット」を
徹底的に教育することが大切です。
具体的には、素直に謝罪することは、
・ミスの事後対応をスムーズにできる
・迷惑をかけた周りからのサポートを得やすい
・迷惑をかけた周りとの信頼関係を回復する
こんな具合に、存在価値を失うのではなくて、
逆に存在価値を強固にするためには素直な謝罪が欠かせないという
教育的な刷り込みをしていく事が必要です。
また、ミスをしたからといって、すぐに評価が下がったり、
ダメ社員としての烙印を押されたりするようなことはないという
ことを伝えながら、職場がその人にとって「安心できる居場所」として
認識してもらえるような心配りも必要です。
「言い訳や他責にしてばかりで素直に謝罪しない」という行動は一緒でも
こんなふうに、全くその心理背景が違います。
特に「自分が悪い」という認識があるのに心理的抵抗で謝罪ができない
葛藤タイプの人にとっては、素直に謝罪するという行動をすることは、
心理的抵抗がない人が謝罪する100倍も1000倍も実はエネルギーが必要なんです。
そうした心理背景を理解した上でマネジメントができると、
余計な心労によってエネルギーが奪われなくなり、
効率的なチーム運営ができるため生産性も向上します。
これまでよりもっと突っ込んだ研修をご希望の研修担当者の方はこちらからどうぞ
登録無料のメールマガジン『自信をはぐくむ、幸せな自分のなり方』の登録はこちら