こんにちは^_^
仙台のメンタルトレーナー吉田です。
研修のオファーで最近多くなっているのが
部下の自己肯定感を高めるメンタリングマネジメントについてです。
メンタリングとは、
人材育成方法の一つで、メンターと呼ばれる指導者が、指示や命令ではなく「対話」による気づきや助言を通して主体的・自立的な成長を促す方法のこと
で、「メンター制度」とか「お兄さん、お姉さん制度」などの呼称で、
制度として組織全体で取り組まれている企業も増えています。
これからお話する内容は制度についてではなく、
メンタリングを意識したコミュニケーションによる人材マネジメントのコツについてです。
メンタリングでは、対話を通して自発的な行動を促すようなコミュニケーション
をしていきます。
そうした中では、時には経験の浅い部下に助言や指導をしたり、仕事に限らず
プライベート上の悩みの相談を受けたり、メンター自身が部下の
ロールモデルになったりと、かなり広範囲に渡って積極的に関わり支援していくのです。
でもなぜ、仕事以外のプライベートな悩み相談を受けたり、
ロールモデルとして関わったりする必要があるのでしょうか?
それは日本人は世界的に見ても自己肯定感が低く、
例えば
☑︎上司や先輩からのアドバイスを素直に実行できない
☑︎叱責されると極端に落ち込む
☑︎失敗を恐れて、既にできていること以外に挑戦しようとしない
☑︎過剰なまでに自意識が高く、何かと周囲をトラブルを起す
☑︎できないことを、できないと言えないのでパンクする
☑︎他者が困っていても主体的に手を貸そうとしない
☑︎管理職など責任のある立場になりたがらない
などなど、せっかくポテンシャルがあるにも関わらず、自己肯定感が低いせいで
受動的(指示待ち)の姿勢になっている部下をマネジメントしながら、
チーム全体の生産性をどうやって高めていけばいいのか頭を抱えている
管理職が増えてきているからです。
また、目標達成に向けたコーチング的な関わりはもちろんですが、
もっと個人の内面にまで踏み込んで行かないと解消できないような
様々なメンタルに関する問題が生じているからです。
そこで、ビジネスで結果を出すために必要な「自信」や「やる気」、
「リーダーシップ」を発揮する上での土台となる【自己肯定感】について、
これまでであれば「個人の資質の問題」としておざなりにして来たものを、
組織全体として高めていく必要があると考え出したからでしょう。
日本人は世界的に見ても自己肯定感が低い
実際、内閣府が行った日本を含めた7カ国の若者を対象とした意識調査によると
こんなふうに、自分のことを肯定的に捉えていない若者が
世界の中で日本は特に多いのです。
なにかを知っていても、知らなくても…
なにかができても、できなくても…
なにかをしていても、していなくても…
「自分なら大丈夫」「自分という存在には価値がある」と自分のことを肯定的に認めて信じられる個人的な感覚
のことを自己肯定感といいます。
この「自己肯定感」は、能力や環境、実績などは関係ありません。
たとえ失敗しても、うまくいかなかったとしても、
それでも自分には価値があると思えることが大事で、
この感覚はそのまま自信へと繋がります。
自信があれば失敗を恐れずにいろんなことにチャレンジできます。
また失敗し傷ついたとしても、そこから起き上がりリカバーする強さも持てます。
ですから、人材育成を考えるとき、この「自己肯定感を高めるには?」の
観点を持つことはとても大切なことなのです。
部下の自己肯定感を高めるメンタリングマネジメント3つのポイント
メンタリングマネジメントを実行する上では、
次の3つのポイントを意識し区別しながらコミュニケーションすることが大切です。
その3つのポイントとは「Be」「Do」「Have」です。
では、具体的に一つずつみていきましょう。
Beとは?
「Be」とは、「ある」「いる」「存在する」「起こる」などの意味で、
その人自身の「あり方」や「存在意義」「大切にしている価値観」
などのことを指します。
Doとは?
Doとは、「実行する」「行動する」「果たす」「遂行する(やり遂げる)」
などの意味で、その人自身が行っていること、これから行おうとすること、
やれると思えることなどを指します。
Haveとは?
haveとは、「持っている」「所有する」「与えられている」などの意味で、
もともと環境として与えられたものや備わっているものもあれば、
Do(行動)の結果得られたもの、得られる可能性のあるものなども指します。
では次に、これら「Be」、「Do」、「Have」の関係性について
見ていきましょう。
Be、Do、Haveの関係性
Be、Do、Haveの3つは、それぞれが独立した存在ではなく、
相互に強い関係性を持っています。
ここで、セールスで結果を出すためのプレゼンテーションスキルを
身に付けることを例にして、3つの関係性をみていきます。
「プレゼンテーションスキルを身に付ける」には、トレーニング必要ですね。
例えばセミナーや研修を受講したり…これは実際に行動することなので「Do」です。
このとき、セミナーや研修の受講後に発行される修了書は「Have」です。
また、トレーニングで身につけた能力自体も「Have」ですね。
さて、このプレゼンテーションスキルは何のために身につけたのかというと、
セールスで結果を出すためでした。
ですが、そもそもどうしてセールスで結果を出したかったのでしょうか?
「褒められたい」「いい評価をもらいたい」といったポジティブな動機かもしれないし、
「怒られたくない」「評価を下げられたくない」というネガティブな動機かもしれません。
こうした動機(目的・理由)は人それぞれですが、そうした動機を深掘りしていくと、
「成長し続ける自分でいたい」「会社に貢献できる人でありたい」
「楽しく仕事と向き合える自分でいたい」など、『ありたい自分の姿』が見えてきます。
こうした大切にしている価値観やアイデンティティ(自己認識)が「Be」ですね。
これら3つの関係は次のように表すことができます。
「目的と手段」の関係性、あるいは「原因と結果」の関係性
と言うことができるでしょう。
では、これらの3つのポイントをどのようにマネジメントに
活かしていけばいいのでしょうか?
部下の自己肯定感を高めるメンタリングマネジメントのヒント
自己肯定感を高めるには、部下から「Be」を引き出し、その「Be」を
強化しサポートするコミュニケーションが大切です。
例えば部下に今日の仕事の段取りを確認したとき、
「今日は午前中にこの報告書を仕上げるつもりです」と話してきたとします。
このときの会話を3つのポイントを使って整理すると、
・報告書を作成すること=「Do」
・午前中に報告書が仕上がった状態にする=「Have」
の2つはありますが、「Be」がすっぽり抜けています。
先にお話した通り「Be」は、その人の「在り方」に関することで、
「どうして私はそれをやるの?」というモチベーション(動機)に大きな影響を
与えるものです。
この「Be」が抜け落ちた状態で行動(Do)するということは、
「自分にとってやる意味は感じていないけど、やるしかないから、あるいは、やらなきゃならない(命令)からやる」
といった被害者意識(やらされ感)を強化することになり、
結果として自己肯定感を引き下げてしまうのです。
こんなふうに「Be」がすっぽ抜けた状態の時には、
Have→Do→Beのステップを踏むことで、相手の「Be」を引き出してあげる
コミュニケーションがポイントとなります。
具体的には「それによってどうなりたい(ありたい)?」という問いかけをするのです。
例えば、「今日は午前中にこの報告書を仕上げるつもりです」と言ったのであれば、
「午前中にその報告書を仕上げることで、どうなりたい?」のように問いかけます。
すると「営業の電話に集中できる(Do)」と言ったとします。
そうしたらさらに「営業の電話に集中できることで、さらにどうなりたい?」と
問いかけます。
その答えは例えば「結果を残していい評価をもらえるようになりたい」といった
「Be」を表現するものになることでしょう。
こうして部下の「Be」を引き出したなら、
「よし!じゃあ、いい評価が取れるように私もサポートするよ!
わからない点などがあったらどんどん言ってくれ」と背中を押してあげることで、
部下は上司から尊重されている、信頼されていると感じ、
自信を持って目の前の行動に集中できるようになるのです。
このように、「それによってどうなりたい(ありたい)?」という問いかけは、
部下自身も意識していなかった目的を自然と探っていくことになり、
自分がこれからやろうとすることの「意義・目的」が明確になるので、
「やらされ感」ではなく、主体的にやろうという姿勢に変わるのです。
まとめ
いくら人材育成が大切だと頭では理解していても、
結果責任を問われる上司の立場としては、「仕事の結果(Have)」に
コミュニケーションが偏りがちです。
特に経験値の少ない新人を育成しようとする場合、
どうしても気になるのは、ミスをしていないか、クレームを発生さていないか、
期限は守れそうかなどばかりが気になって、ついつい
「Do(やること・やっちゃダメなこと)」と「期待する結果(Have)」ばかりの
コミュニケーションになってしまい「Be(部下自身はどうありたいのか?)」が
置き去りになりがちです。
「Be」「Do」「Have」の3つを意識したメンタリングマネジメントによって
あなたの職場をイキイキと変えてください。