こんにちは、
心と言葉を科学し、なりたい自分へのブレイクスルーを巻き起こす。
人やチームのポテンシャルを引き出し『価値』を高める、ブレイクステート代表 メンタルトレーナーの吉田です。
「部下と会話する時間がなかなか取れません」
こうしたジレンマを抱えているマネジメント職、経営者の方は少なくありません。
・指示待ちの部下にもっと主体的に行動してもらうには?
・期限を守らない部下に責任感を持ってもらうには?
・モチベーションが下がっている部下のヤル気を高めるには?
・批判や意見は言うが行動してくれない部下を行動させるには?
・自分に自信を持てない部下の自信を高めるには?
・コミュニケーションが苦手で仕事が進まない部下をどう育成するか?
・協調性に乏しい部下に恊働の大切さを教えるには? etc…
こうした悩みを解決するには、やはり部下とのコミュニケーションは欠かす事ができません。
ですがなぜ、本来、育成を通してチームで成果を出す役割を担っているマネージャー職の方が、こうした「時間が取れない」というジレンマを抱えるのでしょうか?
要因としては色々ありますが、私は主に2点に大きな問題があると考えています。
一つ目として、人財育成面について明確な数値目標が無いということがあります。「部下の◯◯という能力を、△△レベル迄アップさせる」といった人財育成に関する明確な目標がなければ、どうしても目に見える「業績目標」ばかりに目が行きがちです。また、マネージャー自身にも業績数値目標が課せられているケースも多く、部下育成の前に「自分の目標達成」で手一杯ということもあるかも知れません。
二つ目は、部下との会話には最低30分〜1時間程度は確保しなければならないという思い込みです。
あなたは部下とのコミュニケーションに、どれくらいの時間が必要だと思いますか?
部下の抱えている仕事の進捗管理や、仕事上の報告、連絡、相談などに、どれくらいの時間を使えば、相互に満足するやり取りが出来ると思いますか?
個人面談の時間を、3ヶ月に1回、30分程度確保していれば、案外いい方かも知れません。実態としては、ほとんど確保できていない。確保出来たとしてもマネジメント職から一方的に話をして終わりというケースや、部下は「やらせれ感」しか持っていないという認識のズレが生じている場合が多いようです。
ではもし、あなたが数分間という短時間で、ビジネスの成果を高める密度の濃いコミュニケーションが出来るとしたらどうでしょうか?
部下と短時間会話をするだけで、部下の状態を把握し、仕事の悩みを解決しながら方向性を指し示し、モチベーションを上げる事ができるとしたらどうでしょうか?
今回は、数分間で密度の高いビジネスコミュニケーションをする質問方法についてです。
毎日、数分程度の時間を確保する
チャットワークやLINEで、メールやファイルをやり取りできるのはとても便利です。外出先からも、気軽に情報のやりとりや指示だしができるので、私も便利に使っています。ですが、どんなに仕事を効率化するツールが増えても、表情や姿勢などの【言外の状態】をリアルに感じながら、対話によるコミュニケーションをすることに勝るものはありません。
ですから、まずは数分間、部下とコミュニケーションのために時間を創り出すことから始めることが必要です。どんなに忙しくても、たったの数分間なら、毎日でも創り出せますよね?
「忙しいのに、自分のためにワザワザ時間を創ってくれたなんて・・・」
部下にそう思ってもらえたなら、それだけでも十分な価値があるというものです。
複数名の部下をお持ちの方であれば、「今日はAさんとBさん。明日はCさんとDさん」というように、ローテーションを組んでもいいでしょう。
いずれにしても、あなたがやるべきことは、まずは毎日たった数分間の時間を確保すればいいだけです。
部下に対する質問を用意する
質問を用意するということは、「部下のことを考える」ということでもあります。その際には、主にこの3つのポイントに着目した質問を準備しておくといいでしょう。
1、部下があなたに知って欲しいことは何か?
2、部下はどこで躓いているのか?
3、部下があなたに見て欲しい、評価して欲しいのは何か?
多くの場合、まずは「部下が抱えている悩みや問題を把握すること」の優先順位が高いと思います。なぜなら、それを解決することで、部下は前進するエネルギーを得る事ができるからです。
仕事が順調に進んでいる際には、「どこを見て欲しいと思っているのか?」を把握するだけで、部下は「見てもらっている」と安心して仕事を進める事ができるようになりますね。
また、数分間という制約の中で行う会話ですから、1回の会話では質問も1つに絞り込んでおいた方がいいです。そうすることで、結果として短時間の会話を複数回繰り返すことにも繋がり、コミュニケーションの深度を深めることができます。
声を掛けられるより先に声掛けする
部下から「ちょっと相談があるのですが・・・」こういうケースって、大抵は何か良くない情報を持って来ます。
すでに「良くない結果」が起きてから相談された場合、その良くない結果への対処をするだけで時間が無くなってしまう・・・。そんな経験を、あなたもお持ちかも知れません。
残念ながら、これではマネジメント職としてはいただけません。
なぜなら、悪い結果が起きてしまったということは、部下の仕事のプロセスに何の関与も出来ていないということを証明しているようなものだからです。また、通常の状態を「ゼロ」だとすると、問題が起きた状態とは「マイナス」の状態ですね。問題解決しただけでは、「マイナスをゼロに戻しただけ」で、何の付加価値もありませんね。むしろ、ゼロに戻すための時間や労力のコストを生み出してしまったワケです。
ですから、頻繁に部下とコミュニケーションを図る必要があるのです。それも、たった数分間で問題発生を回避し、よりよい結果を出す方向付けが出来るなら、その数分間の価値は、まさに『値千金』と言えますね。
方向性を指し示す
部下の抱えている悩みや問題は、あなたにとっては『些細な事』だと思えることかも知れません。ですが、そう思えるのはあなたが既に『乗り越え体験を積んでいるから』です。部下にとっては全くの未知の領域だったり、なんらかの不得手な部分があるこそ、悩みを抱えているワケですね。
人は自分の力で問題を解決できると、それは自信というリソースに繋がり、モチベーションを高める事ができます。ですから、あなたが「ベストなアドバイス」を部下に提供出来たとしても、ここは少し我慢して、部下にヒントを与える程度でとどめておくということを意識しておくといいでしょう。
「あなたは、本当はどうしたいのか?」「本当はどうなりたいのか?」
こうした質問をすることで、部下自身から進みたい方向性を引き出していくワケです。
具体的な行動プランをコミットする
方向性がはっきりしたなら、実際の行動のプランニングです。なんでもそうですが、ゼロからイチを生み出す「はじめの一歩」が一番エネルギーを使います。ですから、ここで躓くケースが多いのです。
「では、具体的に何から始めるとやりやすいかな?」
など、質問を使って「はじめやすい方向性」を示唆してあげるだけでOKです。後は、部下が「えっと、まずは◯◯から始めて、次に△△をして・・・」と返答する内容に耳を傾け、方向性に問題が内容ならそれを力強く承認してあげるだけで、部下のモチベーションはとても高まります。
あなたが提供すべきものは、ノウハウよりも『方向性』や『考え方』です。
会話を明確に締めくくる
会話を締める際に必ず行いたいことがあります。それは、「今日の振り返り」です。
「では、今日のところは◯◯の件について△△の方向で仕事を進めていくということで大丈夫かな?」
という具合に、会話の中身を要約して相互に確認します。こうすることで、些細な会話内容だったとしても、部下からして見れば「しっかりと聞いてもらえた」「自分の思いが伝わった」と感じるのです。
会話を締める際に、もし部下が浮かない表情をしているようであれば、「他に何か気にかかることがあるのかな?」という駄目押しの質問をするのは、とても効果的です。
評価者である上司に対して、本心をズバズバ言える部下は少ないものです。そんな時に、あなたが手を差し伸べてあげる事で、「この人は自分のことを本当に大切に思ってくれている」と感じ、「ここまで思ってもらえているなら、もっと頑張ろう!」とモチベーションを高めていくワケです。
一連の流れをまとめると、
1、部下に対する質問を準備する。
2、先に声を掛ける
3、方向性を示す
4、行動プランを決める
5、会話を復唱確認して締める
この5つのステップにかかる時間は、たったの数分間です。ですが、この数分間に費やした成果は、計り知れないくらいのパワーを生み出します。
まずは、毎日、一人につきほんの数分間の時間を捻出する工夫からはじめてみてはいかがでしょうか?
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